<記憶の断片>細胞のフラッシュバック
最初は聞こえないくらい
今は確実にその音を増す
僕に近づく足音
歩幅は変わらず
一定のリズムを刻む
忍び寄るわけではなく
僕が近づいているのか
錯覚に陥っていく
追い抜かれそうになると
一瞬の静けさの後に
全身に生暖かい温度を感じ
足音が消えたことに気づく
そして分岐していた
もう一人の自分の記憶が
フラッシュバックを始める
足音があったこと
足跡があれば辿れることも
知っている
けれど辿る必要はない
フラッシュバックが終わると
また別の足音が僕の前を
進んでいく
永遠に繰り返される情報交換
妄想と現実の境界を消し去り
記憶の改ざんなのか
記憶違いなのか
そんなことも意味を持たない
止まらない僕の細胞活動
画像提供元:Pexels
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