6月ももう少しで終わる。梅雨中なのか、明けたのか?東京では30℃を超える暑さ。
春や秋がない?!なんて言葉を良く聞くようになった昨今です。
業界の一部では、暦を旧暦に戻して考えれば今の気候に合致しているので「旧暦でマーケティングしよう!」なんてことが言われてもう10年以上が経過しています。
今回は素材の話で、ちょ~っとウールの話でも書いてみようかと思います。
「羊毛(ウール)には相場がある!」
もちろんファッション業界の方は当たり前のようにご存じかと思いますが、一般消費者の方はなかなか知らないことだと思います。
貴金属や食品同様に羊毛にも相場があるのですよ。
昨今では異常気象により羊毛の発育?が悪化しました。これは主に羊毛を生産しているオーストラリアの干ばつにより羊の餌となる草の発育が悪く、質の良い羊毛を大量に刈り取ることができなかったことが原因で徐々に価格を上げている羊毛ですが、2011年6月に異常なまでに羊毛の価格が高騰し、2012年には一瞬、下落したことはありましたが、それ以降も価格はどんどん上がっています。
ウール製品の原料である羊毛は、牧羊業者で構成された団体による(わかりやすく表現すると)競り(せり)によって、その年の羊毛単価が決まっていきます。なので、毎年、価格が変動するのです。
上記のような羊毛生産の減少に加えて、中国での需要増、昨今の原料価格の高騰(原油価格が上がることで物流コストが上がっていたり、コロナ禍で輸送用コンテナが停滞したこことで市場に原毛が出回らなくなったり、、、。)と価格が上昇する要因はたくさんあります。
このような羊毛の価格変動を常に凝視し、価格が下落してからのウール生地の発注を行うアパレルメーカーもいるくらいです。原料を安く仕入れることができれば、原価率も上がるというアナログにも聞こえますがビジネスの原点でもありますね。
一般消費者の皆様の手元に渡る、ウール生地の衣料品やニットはそんなに頻繁に購入するものではないので価格の変動を意識している方は少ないと思いますが、実は天候に左右されたり、常に価格も変動していたりとまさに「生きた素材」なのです。
消費者動向において、王道であったカジュアルスタイルやワンマイルウェアは引き続き、需要が見込まれていますが、ファッションのトレンドは常に動くもの。「アフターコロナ」とも言われるようになった今、人々が嘗てのように街に出る機会も急増しており、“着飾る”という欲求が出てくると“ウール”への需要の高まりが謳われていきます。特にフォーマル過ぎないセミフォーラムと捉えられることの多い“ウール・ツィード”は徐々に需要を伸ばしています。クラシカルな素材を仕上がりの軽さや風合い、またまた今までになかったアイテムでの素材使いなど様々な“ウール・ツィード”のアイテムがこの秋くらいから再度、フィーチャーされるのかもしれませんね。
ネオ・クラシカルなファッションが街に出てくることを今から楽しみにしている今日この頃です。
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